石原謙と石原純は兄弟だというのは、よく知られている。前者はキリスト教研究者であり、後者は理論物理学者である。
石原純は戦前日本のアインシュタイン・ブームの立役者の一人である。東北帝国大学の物理学教授だった。石原の招きもありアインシュタインは仙台で講演している。そして、アインシュタインは感銘を受け、やがて東北帝国大学がドイツのゲッティンゲン大学のような理学研究の拠点になるであろうと語っている。
ちなみに東北帝国大学の校歌にも「月沈原=ゲッティンゲン」が出てくるのは偶然ではあるまい。
石原は著名な歌人でもあり、後にゆえあって野に下り、岩波書店で『科学』の編集長となる。科学ジャーナリズムの鼻祖というわけだ。
さて、ここで取り上げたいのは、数学者の石原繁氏である。微分幾何学の教科書で著名といえば著名。かの矢野健太郎の弟子筋であるのだが、どうもこれらの石原一族の係累ではないだろうか?
理由は2つある。
石原純は一般相対論の専門家であったが微分幾何学はその類縁の数学分野であること、もう一つは、石原繁氏が東北帝国大学卒であることだ。
彼は1945年の卒業である。
息子が自分の大学の同じ系統の学問を修めるのは、ままあることだ。つまり、石原繁は石原純の息子ではないだろうか?
他にもう一つ、菊池一族についての疑問もあるが、それはまたの機会に。
- 作者: 矢野健太郎,石原繁
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