日本にあるハワイといえば、いわき市にある「スパリゾートハワイアン」だ。常夏の島が福島にある。その絶対的な違和感が好きであった。
いまは、先の大震災でダメージを受けて工事中である。
ここには是非、がんばって繁盛してもらいたいものだ。炭鉱の灯が消えつつあるときに、家族ぐるみで地域を蘇らせた『フラガール』のイメージは焼き付いている。
温泉地が続く往路の寂れた住宅を所在なさそうに歩いていた女の子が一人いた。その子の後ろ姿がやるせなかった。
地元に明るさを取り戻すその象徴のような場所として、「スパリゾートハワイアン」はあるのだ。
司馬遼太郎が『アメリカ素描』で「常磐ハワイアンセンター」の鉱員家族と企業が一体となった再生をアメリカの産業廃墟に重ねあわせて描いていた。
常陸の国の一部であったこの地は古代日本人にとっては「常世の国」であった。その神話的夢想が「常磐ハワイアンセンター」に連綿と連なっているのだと思う。
建物や設備は小田原ヒルトンにも勝るとも劣らない。これも民俗的連想だけれども、山中他界伝説を思わしめるよい立地である。
もうすぐ営業が再開される。
乞う、再見を。
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なお、司馬のコメントを思い出すのにこのブログを参照させていただいた。記して感謝します。