つまるところ英国の暴動は、ジャスミン革命と同じポジションにあるはずが、ただの暴力の連鎖、政治的主張が伴わない暴発に終わったということではあるまいか。
いずれの国家においても若者層は政治的弱者にされ、経済的不利な状況に閉じ込められている。福祉国家であるにせよ、そうではないアメリカのような国であるにせよ、日本のような行く末が定まらん漂流国家であるにせよ、若者層は政治的弱者にされ「行き場なし」に押し込められている。
これは大きな問題だと考える。
リミックス運動にもそうした世代間抗争が内在しているのは、以前にブログで触れた。先行者である年長者が不労所得として、知的所有権をいつまでも専有する。
第二次世界大戦後の世界はきわめて安定し経済的繁栄を謳歌した。そのなかで「知」の鉱脈はおおかたあさり尽くされて、その多くは著者の死後も権利が50〜70年も温存される。
誕生日で皆が口ずさむ「ハッピーバースデートゥーユー」にも著作権が存在し、厳密には使用料を払わなくてはならない。
長寿化にともない多くの職位は先行者によって長期的に占有される傾向にある。ロバート・ライシュが説いたシステムアナリストのような高度な専門職の創生も、現在のような安定した仕組みの枠内では停滞する。そんなに都合よく専門職種が増えるわけがないし、多種多様な専門家を抱え込んだ企業が、競争力を強めるとも思えないのだ。
つまりは、先進国において若者は行き場なしの状況に追い立てられる、あるいは小数の安定した職を求めて、過当競争にさらされることになる。
かててくわて彼らの上にのしかかるのが、福祉社会の担い手という重圧なのだ。
先進国では、逆ピラミッドになった人口構造が如実に語るように、少数者が大量の高齢者を養う、金銭的にも肉体的にも! これは現代の隷従といわなくてなんだろうか。
反抗しようにも政治的発言はか細い声にしかならないのだ。民主主義制と福祉および愛他主義の軍旗のもとでは袋小路になるしかあるまい。やがては、英国のようのに暴発するしかないではないか。
ここで問いたい。Webはその救世主となるであろうか?
政治的な正当なる権利の主張、先行者の多数性と場所の占有を制限して、新参者である若者が現代社会の重圧より開放される、そのような発言と結束の場を与えるのであろうか。
今のところ、そこにしか希望はあるまい。
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