出雲神話中の巨人伝説とも言うべき国引き神話。八束水臣津野命があげた「意宇(おう)」という雄叫びで「意宇の杜(おうのもり)」となった土地があるとは『出雲風土記』の一節です。そうした神話を江戸時代に読み解いたのが新井白石であります。
彼は漢文を自在に読み解き、記紀の古語に相応物を解釈した日中の史書に通暁した近代的な歴史家というにふさわしい大学者です。
白石の『古史通』の第二巻に従い、「おうとは「大」に通じる」とあるのを一読して、「大君(おおきみ)」という呼称のふるさとに思い至りました。これは大君を「たいくん」と音読みし、幕末の来日外国人オールコック(イギリスの外交官)をして「大君の都」を書かしめた時代まで連なるのでしょうね。
この「大(おお)」は同時に、中国由来の「王」の当て字を有するようになったというのが、自分の仮説です。「王」=「大君」の意として飛鳥時代の指導者、もしくは翻案を検討した百済系渡来人は考えたのではないでしょうか?
【参考資料】
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白石の『古史通』はかんたんには読めないのは残念です。中国の古典にも精通した、こんな偉大な先人の業績を利用できないのは学問的な機会損失でありましょう。
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でも、自分が読んだのは「日本の名著」シリーズの摘要であります。
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