「【タイ】日本の隠れた心霊スポットが話題に―小桜姫・三浦半島」
という記事が2月12日に話題になった。
三浦半島の小桜姫の祠がタイ(訪日するタイからの観光客のあいだ)でパワースポットになりつつあるという。たしか、日本を紹介するタイの人気TVシリーズがきっかけだと記憶する。
タイの人びととは仏教信仰を日本と共有するから、この手の民間伝承は人気になるのであろう。もともとアニミズムが生きる民族同士だからともいえる。
小桜姫という三浦一族の生き残りの姫の霊験で津波の難を逃れた村人の信仰の場という。なんともニッチな場所を見つけるものだと感心する。
自分が感じた不思議はそれとは別のものだ。
小桜姫物語に関するシャーマニズム的な伝承に始まる。浅野和三郎という英文学者にして、もと大本教信者である心霊研究家が残したドキュメントに『霊界通信 小桜姫物語』(青空文庫に所収)というものがある。霊媒の自動筆記を浅野和三郎が記録したものだという。心霊科学研究会出版部から1937年に出版されている。
浅野和三郎は横須賀の海軍機関学校で教鞭をとった経験がある。その時代に関係する記録なのであろうか?
自分の推測では、この霊媒はご当地、三浦半島の出身者であろう。地元の婦人であろうが、小桜姫の祠とその伝承は見知っていたであろう。三浦一族の興亡の記憶は半島の住民にはなまなましく伝わっていたことだろう。
それに、イタコやゴミソに近い存在なのかもしれない。例えば茨城県には職業的霊媒が昭和後期まで存続していた。
浅野和三郎は福来友吉とは異なり超心理学を志向していたわけでも何でもない。心霊現象をあるがままに受け入れていただけだ。この女性の経歴や文化的背景などはどうでも良かったのだろう。
それがいま気にかかることではある。
【参考資料】
三浦半島の新井城についてはこの本が詳しい。城割が描かれている。こんな城で3年間も籠城したのだ。凄いと唸る。
- 作者: 西ケ谷恭弘,朝日新聞社
- 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
- 発売日: 1978/05
- メディア: 単行本
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三浦一族の最期について一番入手しやすいのは司馬遼太郎の本だろう。
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
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場所は油壺の近所だ。マリンパークは城址の一部である。確かにここで三浦一族は全滅した。新井城の城址である。後北条氏との死闘の果ての凄絶な最期だったという。