自動販売機たちの呼声

 自動販売機をクール・ジャパンのネタとすることはできないだろうか?
 日本は自動販売機大国である。その種類や数量、それに投入された技術力は半端ではない。
 例えばである。
自動販売機の売上は清涼飲料水メーカーにとって生命線である。それゆえにかなりの開発コストを振り分けてきた。
 売上データを使い品揃えを変えるのは当然として、それが気象データだけではなく、
地点データ(通行人のタイプ)でもって変化させている。本部へのリアルタイムな在庫情報送信はもちろん、実に人の画像認識で売り込み商品ディスプレーを変動させることも可能なマシンが至る所に置かれるようになった。

 ところで、日本最初の自動販売機は体重測定器だったそうだ。上野公園にそれが置かれたのは明治22年という。当然ながら、完全なる機械作動だ。電気じかけではない。
電気じかけの自販機は今や当たり前。それについでネットに接続しているマシンが現れている。本部通信のためである。

 これからはどうなるだろう?
販売する銘柄が増加するだろう。取り寄せ予約も可能になるかもしれない。AI機能が補強されれば会話により、特注のブレンドコーヒーを作れるインタラクティブ・ドリップマシンはすぐにでも実現できそうだ。

 会話の次はモビリティだ。自動走行するベンディングマシンを自由化すると街に活気がよみがえるかもしれない。
もの売り声があふれるかつての日本が再現できるだろう。今では豆腐売や焼きいも屋など数が少なくなってしまったが、明治時代には風鈴や金魚、薬など豊富な物売りがそれぞれの売り声を響かせていた。
 量り売りも自動販売機にほしい能力の一つだ。同じ量を誰でも望むわけではない。
適温で適量の商品をほしいではないか? それが省エネルギー化にもなる。


自動販売機の文化史 (集英社新書)

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