動物との交流の文学

 ヒメーネス『プラテーロとわたし』のように動物との満ち足りた交流、語りかけたり慰められたりする物語りは、どうも少ないようだ。ロバは西洋文学において旅の道連れ以上の意味をもった動物であるようだ。
スティブンスンの『旅はロバを連れて』という秀逸な紀行文もあるので、ヒメーネスだけの孤立現象ではない。
 ギリシア古典の『黄金のロバ』の血脈というべきであろう。それ以外となるとジャック・ロンドンの『白い牙』や『野生の呼び声』、シートン動物記などの人が動物を外面的に描くものしかなくなるようだ。