国枝史郎『神州纐纈城』の魔界小説

 三島由紀夫が絶賛した国枝史郎の魔界とは、富士山麓に広がる幻想的なアウトローワールドであった。
 その『神州纐纈城』では本栖湖の水城に異界ゾーンがある。副題は「富士教団秘境伝奇」 

 時は戦国時代、武田家家臣、土屋庄三郎昌春という使い手でもある若者が一切れの紅布に魅入られて、おどろおどろしい冒険を繰り広げる。と聞けば、往年の幻想小説ファンならずともその奇妙な設定に惹かれるに違いない。湖上の妖気に満ちた水城の城主は天刑病、ヒト穴に住む造顔師、流浪の人斬り陶器師といった奇想天外なキャラとともに武田信玄塚原卜伝といった実在の人物が配される。


 国枝史郎はその居を長野県に定めて、我が国の山間に巨大な異空間を幻視した。風変わりな作家だ。
 ネットで読める→http://www.geocities.jp/kyoketu/651.html

 久々に、本栖湖に行ってみたくなった。噴火前にいかくなちゃね。


大きな地図で見る