この夏、東京農業大学の厚木キャンパスを散策してみた。場所は厚木市中心部から数キロの小高い丘の上。山といってもいい。厚木駅と繁華街を見降ろせる。隣りにソニー学園湘北短期大学がある。*1
丘のてっぺんに建物は群がっている。周囲を農地、植物園、ハウス、演習林、畜産場などが取り囲んでいる。
入り口から尾根伝いにいくと事務局や食堂などがある。駐車場の近くに豊受大御神を勧請した分社がった。農大らしい。
あの榎本武揚が大学のファウンダーである。あの波乱の生涯、幕臣であり、函館戦争の戦いとその後の人生は安部公房が小説にしている。
事実上の農学校の創始者、横井時敬は農本主義者として著名だ。綱沢光昭の『日本の農本主義』によれば、横井は科学方法論を身にまといながら、本質は精神主義者だったという。とはいえ、農民にたち交わりその経験を重視することが単なる精神主義者とは異なる。
武士道の継承者は農民であると彼は考えていた。さらには農業教育は軍事教育を助けるとも言う。
「都会=悪、田舎=正」とし反資本制をよしとした昭和の右翼と根が同じ部分がある。
現在の東農大には政治色はまったくないのではあるが。
【参考文献】
- 作者: 安部公房
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1990/02/10
- メディア: 文庫
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- 作者: 綱沢満昭
- 出版社/メーカー: 紀伊国屋書店
- 発売日: 1994/01
- メディア: 単行本
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