古代哲学者たちの「人脈図」はいくつかの点で面白い。
*ソクラテスとプラトンが「ハブ」になっていること
*デモクリトスがのけ者になっていること
*ヘラクレイトスが孤立していること
などだ。
まずこのネットワーク図は人脈というよりは著作物的であることを指摘する。
プラトンの対話篇はおおむねソクラテスと他の賢者や若者たちとの会話形式である。
つまりは、残存して影響力を持った著作物からのネットワーク図といった方が適切なようだ。
デモクリトスはプラトン一派が敵視ししていた。プラトンの流派が永続し、後世に支配的な哲学思想となったがゆえにデモクリトスの著作も思想も少数派となっていったと考えられる。であるが、おそらくアリストテレスはデモクリトスの膨大な著作を自家薬籠中の物としているはずだし、数学的な業績はギリシア数学者に受け継がれたはずだ。
コスのヒポクラテスとの関係も深いものがあり、医学への影響もふかいものがあったと想像される。
最後のヘラクレイトス。この孤高な思想界の王者の孤立は不思議でもある。プラトンは間違いなくヘラクレイトスの影響を深く受けているはずだ。しかしながら、その著作は断片しか伝来していない。
ヘーゲルやニーチェなど後世の思想家はいずれもヘラクレイトスの偉大さを認めている。彼については別途考えてみたい。
【参考文献】
未だにバーネットの研究書が定番であるのだろう。