第二次日中戦争前夜ではないことを祈る

 尖閣諸島をめぐる対立が拡大し日中戦争にならぬことをひたすら祈念するものであるが、ここで一つの歴史的対比をしておきたい。
 日清戦争との対比である。
 日清戦争前の日本は開国したばかりで軍備は清國に比べて貧弱であった。国防費なども数字の上では清國の半分にも満たない予算だった。
 大日本帝国は貧乏国だったのである。列強から高額で購入する兵器も清國のほうが格がうえであったものが多い。
 軍備の点では、開戦前の下馬評はおおかた清國優位であった。
では、なぜ勝てたか?
 「負けに不思議の負けなし」ではないが、一部の有能な軍人を除いて清國、否!
中国軍は近代的な兵学を運用できなかったということだ。兵装は優秀でも運用と、それに士気において、日本軍に劣っていたのだ。
 海戦においては黄海海戦がいい例である。火力では優位な中国海軍をギリギリのところで打ち負かしたのである。
 実に黄海海戦は危ういところの勝利であった。陸戦においても緒戦は兵力兵装とも優位であった中国軍をギリギリのところで戦上手さで日本軍が勝利を掌中にしてゆく。

 ところで、腐敗した将校が多く中国軍に存在したことも勝因といえる。それは兵卒の士気にも影響しないわけがない。国民皆兵主義が浸透した日本軍と傭兵的な中国軍とでは、散兵戦なので大きな差が出てくる。機動力も彼我の差が大きくなる。

 つまりは、近代戦というのは兵装や火力の差だけでなく、その運用と統率に力量の格差が依存するようになるのだ(どの時代でも同じなのであろうが)。

 そうした観点で、現代の中国軍を見ると危うさを感じる。少なくとも清國末期の官僚層の腐敗と同じ症候群が現代中国に現れていると感じる自分からすると、高級官僚と同じ症状が中国軍の上層部を浸蝕していると予想されるのだ。
 第三者チェック機構がない権力などというものはモラルハザードの巣窟にならざるを得ないのである。それが大方の見解なのだ。
 従って、第二次日中戦争なるものは日清戦争と同じ展開をするのではなだろうか。


 このコミック、実は日清戦争物語として読んだほうが良い。