不穏なる夏の北半球

 記録破りの集中豪雨が日本列島を再三再四襲い、水の犠牲者が毎週のようにニュースとなる。
この豪雨は地球シミュレータにより10年以上まえに予測されていた。温暖化の影響でこうなると。
 7月にシベリアのツンドラを吹き破ったメタンガスが巨大な噴出口となって出現した。そんな事件はこれまでに観測されたことがない。メタンは二酸化炭素の数十倍の温暖化効果がある。
 口永良部島の火山は台風12号襲来直後に噴火した。台風と火山噴火という取り合わせも20世紀にはなかったのではないか?
 今までは個別に噴火があったが、近年は九州地方での火山活動は異常に活発だ。
 アメリカ西海岸は慢性的な水不足に陥っている。庭の水撒きに高額罰金というニュースが先月流れた。
 これ典型的な温暖化の影響だが、遂にというか、ようやくというかアメリカの投資家は温暖化による規制を考えてポートフォリオをくみ出した。
 中国や台湾ではガス爆発が相次いで起きているが、これは日本の水害とは無関係のように響く。しかしながら、そこでは大量の二酸化炭素が生み出されている。工場火災は工場による地球資源の酸化作用に延長である。

 ナショジオが報じるには今夏、北極海の海氷は最大限まで溶け出している。
火山噴火やシベリアのメタン噴出を重ねあわせると、温暖化が加速するという悪夢が実現しそうで、嫌な気分になる。
 約2億5000万年前のペルム紀の大絶滅は地球史上最大規模の種の絶滅を記録している。平均気温が急に上昇したことはわかっている。スーパープルームが湧き上がり火山活動が激発したらしい。
酸素濃度も低下した。古生代中生代との分かれ目=PT境界が生じるほどの激変だ。
 どれが原因かは未だに議論が続くが、それでも21世紀までの気温上昇はPT境界の変動を「超えている」と見積もられる。
 地球の歴史では加速的に環境が変化した前歴がないわけではない。100年単位で激変することがあり得るのだ。

 ひとたび、限界を超えるとすべてが変化を後押しするように動き始める、かのようだ。
海の酸性化や陸の森林面積低下、オゾン層の破壊などはひょっとしたら、火山噴火などの地殻変動とも連動する可能性がある。ツンドラの溶融もその一環だ。つまり、大気と海と陸、それに地表でも温暖化を促進するような反応が、その兆候がある。
 そうなるとポジティブ・フィードバックが作動するかもしれぬのだ
不安を感じないではいられないし、それに対して歯止めをかけようともしない現代文明の自律性の無さには呆れる。



 科学的な論拠として下記の二点。とくにウォードの本は環境の激変による大絶滅の歴史を詳述する。

地球進化 46億年の物語 (ブルーバックス)

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地球生命は自滅するのか? ガイア仮説からメデア仮説へ

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噴火した火山のある口永良部島。噴煙を上げ続ける桜島の近くである。


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