渋谷スクランブル交差点の歩き方と『不動智神妙録』

 いつのころからか、渋谷スクランブル交差点の混雑と秩序が海外観光客の見どころに
なっています。多数の歩行者が四方からの押し寄せて交差しても混乱することなく
すれ違う様を「奇妙な現象」と見なしているのかもしれません。
 人ごみのなかをぶつかりもせず歩くことは大都会に住む市民は慣習として気を付けて
いかなければ、ただの迷惑な人になります。それを後天的獲得能力ということもできる。
 突っ込んでいえば、禅の精神性と共通するものがあります。
禅の教えは剣の道と同じ精神であると禅僧の沢庵が説いたのが『不動智神妙録』であります。

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通勤通学の混雑のなかを巧みに歩くことは「迷わず、捉われず、止まらず」の教えの通りです。
それが道を究めると、つまり、歩行の達人になると通行の流れと一体になるのです。
この境地では、もはや自他の区別がなくなります。
剣道ならぬ「歩道」の教えなのです。