レアなテーマであるからにして、ほとんど資料がない。ただの記憶の片隅の断片を書き留めておくとしよう。
最初の夫婦関係で出てくるのはソクラテスです。クサンティッペは三大悪妻にまで昇格しているくらいだ。プラトンの対話編にまで登場してくる女傑である。佐藤愛子がクサンティッペの弁明を残してくれているのは特筆すべきか。
女嫌いであったらしいプラトンは飛ばして、中庸の美徳を説いたアリストテレスは数回の結婚歴があるらしい。
最初の奥さんのピュティアスはどうも生物学の始祖の一人といっていもいい。それはともかく、晩年の妻なる女性は哲学者を馬乗りにしたという中世の伝説がある。
その後の著名な哲学者のは有名な奥方の逸話が少ないようだ。どうやら、ギリシア人の哲学者たちは晩婚か未婚かが多かったようだ。ローマ人の哲学者になると婚姻歴はあるが奥方の存在は薄れる。キケロやマルクス・アウレリウスなどストックな面々だからかもしれない。
ヨーロッパ中世になるとキリスト教神学者イコール哲学者になってくるので、女性関係は皆無になるといってもいい。顕著な例外としてはアベラールとエロイーズの関係であろうか。有名すぎて言及は憚られるので下の岩波文庫でも手に取ってほしい。
読んでもいないので論評できない! けれども推測すれば、女性の立場からクサンティッペを擁護した小説であろう。
これは希少本だといっていい。