SNS 都合のいい鏡

 アメリカの政治の混迷やワクチンをめぐるあらぬ噂などを見聞きするにつけ、SNSは自分の判断の歪みを修正してくれるというより、増幅するような仕組みなのだと思う。

阿諛追従をもっぱらとする鏡みたいなものだ。

 中国のような監視国家はそれをうまく利用して、世論を誘導管理している。都合の悪い見解や批判は抹殺し、権力の正当性とナショナリズムを掻き立てる。本当の陰謀があるのに陰謀論とは無縁の社会形成に成功している。アメリカとのこの対比が21世紀社会のグレーさ、すなわち秩序と自由の在り方の難しさを両国が象徴している。

 こう言ってみよう。個人レベルでの阿諛追従と自由な自己表現を許すアメリカと国家レベルでの自己賛美と表現統制する中国が、現在の帝国である。方や言いたい放題と自己批判があふれた民主と渾沌の国、方や言論統制が隅々までいきわたる一党独裁の国なのだ。

 自分としては、SNSは気に入るような情報ばかりを伝えるので、気に入らないことおびただしいと伝えておきたい。